コミュニティ活動はじめの一歩 - PCが苦手でも大丈夫。コミュニティのオンライン化入門

PCが苦手でも大丈夫。コミュニティのオンライン化入門

Tags: オンライン化, コミュニティ運営, ITスキル, オンライン会議, Zoom

はじめに

長年コミュニティ運営に携わっている皆様の中には、メンバーの参加機会を増やしたり、遠方の会員ともつながりを維持したりするために、「オンライン活動を取り入れたい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「自分自身がパソコンやスマートフォンの操作にあまり慣れていない」「メンバーにITが苦手な人が多いので難しそう」と感じ、ためらっている場合もあると存じます。

オンラインでの活動は、地理的な制約や天候に左右されず、より多くの方が参加しやすくなるという大きな利点があります。また、情報共有やコミュニケーションの方法も多様になります。この記事では、特別なITスキルがなくても、コミュニティのオンライン化を無理なく進めるための一歩について解説いたします。段階的に、分かりやすく説明することを心がけています。

オンライン活動を取り入れるメリット

コミュニティ活動にオンラインを取り入れることで、以下のようなメリットが期待できます。

参加機会の拡大: 会場への移動が難しい方や、遠方に住んでいる方も気軽に参加できるようになります。
コストの削減: 会場費や交通費といった費用を抑えることが可能です。
情報共有の効率化: 資料配布や連絡事項の伝達がスムーズに行えます。
新しいメンバーとの接点: インターネットを通じて、今までつながることが難しかった方々との出会いが生まれる可能性があります。
継続性の確保: 集まることが難しい状況（悪天候や感染症の流行など）でも、活動を継続しやすくなります。

これらのメリットは、メンバーの高齢化や新規メンバー獲得の課題を抱えるコミュニティにとって、特に重要であると考えられます。

最初の一歩：オンライン会議（ビデオ会議）から始めてみる

オンライン活動の最初のステップとして、比較的導入しやすいのが「オンライン会議」（ビデオ会議）です。実際に顔を見ながら話せるため、対面での集まりに近い感覚でコミュニケーションが取れます。

いくつかツールがありますが、ここでは利用者が多く、無料でも始めやすい「Zoom（ズーム）」を例にご説明します。

オンライン会議ツール Zoom とは

Zoomは、インターネットを通じて離れた場所にいる人同士が、映像と音声で会話できるサービスです。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからも利用できます。

無料プランでも、3人以上の会議は1回につき最大40分まで利用できます。少人数の打ち合わせや、短時間の定例会などには十分使える場合があります。

Zoomを使えるように準備する

Zoomを使うには、参加する人も、会議を主催する人も、いくつかの準備が必要です。

パソコン、スマートフォン、またはタブレットの準備: インターネットに接続できる端末が必要です。
インターネット環境: ご自宅などにインターネット回線があれば利用できます。スマートフォンの場合はデータ通信量にご注意ください。
Zoomアプリのインストール（推奨）: より快適に利用するために、Zoomの専用アプリを端末にインストールすることをお勧めします。ウェブブラウザ（インターネットを見るソフト、例：Internet Explorer, Edge, Chromeなど）でも利用できますが、アプリの方が安定していることが多いです。
- パソコンの場合: Zoomの公式サイトにアクセスし、「ダウンロード」のページから「Zoomデスクトップクライアント」をダウンロードしてインストールします。
- スマートフォンの場合: App Store (iPhone/iPad) または Google Playストア (Android) で「Zoom」と検索し、「Zoom Cloud Meetings」というアプリをインストールします。
アカウント作成（会議を主催する場合や、繰り返し使う場合）: 会議に参加するだけであればアカウントは必須ではありませんが、自分で会議を主催したり、過去の履歴を確認したりする際にはアカウントがあると便利です。Zoomの公式サイトからメールアドレスを使って無料で作成できます。

会議に参加してみる

主催者から会議のURL（インターネット上の住所のようなもの）や会議IDが送られてきます。

送られてきたURLをクリックするか、Zoomアプリを開いて「参加」ボタンを押し、会議IDを入力します。
名前の入力画面が表示されたら、他の参加者に分かりやすい名前（例：〇〇会山田）を入力します。
「コンピューターオーディオに参加」のようなボタンが表示されたら、それをクリックまたはタップします。これで音声がつながります。

最初は、会議に参加する練習会をコミュニティ内で企画するのも良い方法です。

会議を主催してみる

アカウントを作成し、サインインした状態で行います。

Zoomアプリを開き、「新規ミーティング」ボタンをクリックまたはタップします。すぐに会議が開始されます。
会議画面の下にある「参加者」をクリックし、表示されたウィンドウの下部にある「招待」をクリックします。
「招待リンクをコピー」をクリックすると、会議に参加するためのURLがコピーされます。
コピーしたURLを、メールやLINEなどで参加者に送ります。参加者は送られてきたURLをクリックして会議に参加します。

オンライン会議の基本的な操作

会議中に使う可能性のある基本的な操作です。画面の下部にアイコンが表示されます。

ミュート/ミュート解除（マイクのアイコン）: 自分の声が相手に聞こえるか聞こえないかを切り替えます。発言しない時はミュートにしておくと、生活音などが入らず会議がスムーズに進みます。
ビデオの開始/停止（ビデオカメラのアイコン）: 自分の顔（映像）を相手に見せるか見せないかを切り替えます。
画面共有（上向き矢印のアイコン）: 自分のパソコン画面や資料などを、他の参加者に見せることができます。会議資料を共有したい場合に便利です。
チャット（吹き出しのアイコン）: 音声で発言しにくい場合などに、文字でメッセージを送り合うことができます。

最初はミュートとビデオのオンオフ、会議の参加・退出ができれば十分です。

オンラインでの情報共有を考える

会議以外にも、オンラインで情報共有を行う方法はいくつかあります。

メールの活用: 普段お使いのメールで、複数の宛先に一斉送信する方法です。資料を添付することもできます。
LINEグループ: スマートフォンを使っているメンバーが多い場合、LINEのグループ機能を使って手軽に情報交換ができます。写真や動画の共有も簡単です。
簡単なウェブサイトやブログ: コミュニティの活動内容や会報などを掲載する場所として、無料のブログサービスなどを利用する方法もあります。情報を整理して公開できる利点があります。
ファイル共有サービス: Google ドライブやDropboxなどのサービスを使うと、資料などのファイルをインターネット上に保存し、共有したいメンバーだけが見られるように設定できます。パソコンのフォルダを扱うような感覚で利用できます。

これらのツールも、まずは少人数のグループで試してみたり、使い方を共有する時間を設けたりすると良いでしょう。

オンライン活動を継続するための工夫

オンライン活動を単発で終わらせず、継続していくためには、いくつかの工夫が役立ちます。

完璧を目指さない: 最初から全ての活動をオンラインに移行する必要はありません。まずは月1回の会議の一部をオンラインで行う、といった小さな一歩から始めましょう。
サポート体制を作る: ITツールの操作に慣れているメンバーが、不慣れなメンバーをサポートする体制を作りましょう。個別の質問に対応したり、操作マニュアルを一緒に見たりすることも有効です。
練習の機会を設ける: 本番の会議の前に、接続や基本操作を確認するための練習会を開くことは非常に有効です。
オンラインとオフラインの組み合わせ: 全ての活動をオンラインにせず、内容に応じて対面とオンラインを使い分ける「ハイブリッド」な運営も可能です。例えば、総会は対面で行い、役員会はオンラインで行うなどです。
メンバーの意見を聞く: どのようなオンライン活動なら参加しやすいか、メンバーの意見を聞きながら進めることが大切です。

まとめ

コミュニティのオンライン化は、一見難しそうに思えるかもしれませんが、一つずつ段階を踏めば決して特別なことではありません。まずはオンライン会議に参加してみる、簡単な情報共有ツールを使ってみるといった小さな一歩から始めてみてください。

大切なのは、メンバー間で支え合いながら、無理のない範囲で新しい方法を取り入れていく姿勢です。オンライン活動が、コミュニティの持続と発展の一助となることを願っております。